2024年開催のひいなめぐり俳句大賞に沢山のご投句いただき誠にありがとうございました。
応募総数 103句の中から、見事受賞した句を選者・溝口独妙先生の講評とともに発表いたします。
入選作品発表
てづくりの ひなのいのりや てらにみつ
手作りの 雛の祈りや 寺に満つ
宇佐市 本多 加代子さん
中七の「雛の祈り」に感服です。願いではなく祈りに昇華させた所、その沢山の「雛の祈り」が「寺に満つ」とうまく纏めた所、本当に素晴らしい秀句ですね!!脱帽です。
うすぐもりなれど ひなにははれぶたい
薄雲りなれど 雛には晴れ舞台
宇佐市 後藤 明彦さん
「薄曇」と「晴れ」の対句がうまく生かされた秀句です。当日は、本当に薄曇りだったのでしょうが、その日の天気を句材として、雛を晴れ舞台と捉えた感受性は素晴らしいです。一か月間の「雛の晴れ舞台」ですね!!
きものきて ふうふふたりで ひなめぐり
着物着て 夫婦二人で 雛めぐり
杵築市 中園 雅晴さん
好みの着物を探し、それを着て緊張しつつも、満足感に浸っている若夫婦の華やいだ姿が浮かびます。手を繋いで坂を登ったり下ったりの雛めぐり、嘸かし楽しかった事でしょう。杵築の特色(着物)の出た秀句ですね!!
おりがみの しあげにめいれ だいりびな
折り紙の 仕上げに目入れ 内裏雛
別府市 吉弘 久美さん
折り紙の内裏雛に仕上げの目を入れる緊張感と入れ終えた後の安堵感の滲み出ている秀句ですね。この句は、雛を作る人の句だと思いますが、この類の句が沢山応募されることを願っています。
しょうきんのこゑ むつまじき ひなのいえ
小禽のこゑ 睦まじき 雛の家
杵築市 尾平 貴子さん
「小禽」とは、「小鳥」のこと。とある雛の家で休んでいると、小鳥の鳴く声が聞こえたのでしょう。小鳥の声と家に並ぶ数々の雛の姿の愛らしさとが、「睦まじき」で結ばれたのです。作者の心情が吐露された秀句!!
ほつれたるままの たたみやふるひいな
解れたるままの 畳や古雛
別府市 堤 節子さん
解(ほつ)れた畳と古雛とその部屋の古風さとが一致した秀句だと思います。「まゝ」が良いです。畳の新調はすぐ出来るのでしょうが、敢えて古いまゝ。古雛を中心とした古風な部屋全体の調和した風情がいいですね!!
ながしびな やさかがわから もりえわん
流し雛 八坂川から 守江湾
宇佐市 後藤 るり子さん
地元の人の「流し雛」を実写した秀句ですね!!昔より伝わる杵築の伝統の「流し雛」の様子が、読者の目の前に浮かびます。守江湾から色々な所へ流れ着くことでしょう。流し雛への願いが成就されることを祈ります。
れきしある ひいなのならぶ じょうかまち
歴史ある ひいなのならぶ 城下町
福岡市 田畑 夏希さん
「歴史ある」を「ひいな」と「城下町」とに掛けて上手く纏めた秀句ですね!!衒うところのない写生句です。二十七ヶ所の展示場、色々なイベントの開催、今後、更なる歴史を繋ぐ「ひいなめぐり」であるよう祈ります。
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