大分県杵築市観光協会公式ホームページ

町と歴史:観る・知る




日本でただ一つといわれる“サンドイッチ型城下町”。どうしてこう呼ぶのか、この坂を歩いてみるとその理由がわかる。

塩屋の坂と酢屋の坂、これら二つの坂は谷町通りを挟み向かいあうように一直線に結ばれている。つまり、杵築城を中心に据え、それぞれの坂の上、南北の高台に屋敷を構える武士たちは、その谷あいで商いをする商人たちの町を挟むように暮らしていたのである。塩屋の坂から振り返るようにして酢屋の坂を眺めてみると、凹凸のある形状がまさに“サンドイッチ”のように見えてくる。

貴重な景色としても訪れる価値のある坂だが、景色以上に、江戸時代の武士や町人たちの暮らしやこの町の様子をうかがい知ることのできるかけがえのない遺産でもあるのだ。その坂の上から眺める景色はとてもダイナミックで、武家屋敷やその茅葺屋根、そして町家の家並みに白壁、石垣、竹林と、貴重なこれらの景色は映画やドラマにもたびたび登場している。






谷町から塩屋の坂を上るとそこは南台家老丁の入り口。ここに立つ中根邸は杵築藩家老中根氏の隠居宅。杵築藩主に仕えた三河国中根村出身の中根長兵衛末治はやがて杵築藩一の家老にまで出世する。屋敷の建つ土地の広大さから見ても当時の栄華が偲ばれてくる。

代々家老を務めた中根家が、隠居後に選んだのがこの土地で、家老職から解放され、静かで穏やかな余生を過ごしたいという願いが見て取れる屋敷となっている。

6畳の茶室を始め、10畳の座敷もまた茶室として炉が切られている。その脇には3畳ほど茶の準備室も設けられていて、主人たちがこよなく茶の湯を愛していたことがわかる。もともと茶の湯の文化が広く浸透していた杵築藩にあっては、多くの人が茶の湯に親しみ、たびたび茶会も開かれていた。中根家にあっても、隠居後の暮らしの中の大きな楽しみとして茶の湯があったに違いない。主人たち亡き後も、この屋敷ではたびたび茶会が催されてきた。


information
中根邸
〒873-0002
大分県杵築市南杵築193-1

営業時間 9:00~17:00(入場は16:30まで)
定休日毎週月曜(※祝日の場合は、翌平日が定休日)
 年末年始
入場料 無料




その名前にわざわざ“城下町”と記されるほど、城下町杵築の魅力をわかりやすく、そして興味深く紹介しているのがこの「きつき城下町資料館」。

杵築の町が非常に特徴的な城下町であることを言い表した「サンドイッチ型の城下町」という言葉。珍しい地形と構造からなる杵築のご城下を模した立体模型を見ればそれが一目でわかる。

資料館に展示されている城下町の立体模型は、昔の地図をもとに、江戸時代の姿をそのまま再現している。そしてこの立体模型で象られた町並み、武家屋敷群、町家界隈などは、今の姿に重なる所も多い。杵築の町が城下町として、いかに江戸の姿をとどめた町であるかを実感できるに違いない。

また、城の主である藩主が、木付氏から松平氏へ引き継がれていった歴史や「杵築」という地名の由来など、城下町のルーツにも迫る歴史の断片が数多く紹介されているのも興味深い。併せて、役所の日記に記された様々な事項に、当時の町の様子や風俗、習慣などもうかがいしれて面白い。この他にも、杵築芝居の豪華絢爛な衣装も展示されている。


information
きつき城下町資料館
〒873-0002
大分県杵築市南杵築193-1
TEL:0978-62-5750
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日毎週月曜(※祝日の場合は、翌平日が定休日)
 年末年始
入場料個人:一般 200円/小・中学生 100円
 団体(30人以上):一般 160円/小・中学生 80円
 ※共通観覧券対応施設




一松邸は、杵築市の初代名誉市民となった一松定吉氏の邸宅で、昭和32年に杵築市に寄贈され、「一松会館」として市民の憩いの場として開放されていた。その後、市庁舎の移転に伴って、杵築城と海を望む絶景の場所(現在地)に移築されたもの。

一松氏は現在の豊後高田市にあたる美和村の出身。杵築藩の剣術や槍術の指南役であった一松家の家督を継ぐ養子として入り、その後ながく法曹界で活躍、のち政界に転じ、第一次吉田内閣で逓信大臣、以降厚生、建設各大臣を歴任。

その邸宅は、杉の柾目の一枚板を敷いた縁側、格天井(ごうてんじょう)を客人用の御手洗に施すなど、贅沢で洗練された趣が屋敷を包む。戸袋を減らすために雨戸を直角に回転させる工夫を施した「回り戸」は、機能的で合理的な技術は現在でも十分に通用する。




information
一松邸
〒873-0002
大分県杵築市南杵築193-1 
TEL:0978-62-5761
営業時間 9:00~17:00(入場は16:30まで)
定休日年末年始 
入場料 個人:一般 100円/小・中学生 50円
 団体(30人以上):一般 80円/小・中学生 40円
 ※共通観覧券対応施設





町家から南台武家屋敷の裏丁へと通じるのが「飴屋の坂」。この坂の特徴はなんといっても“くの字”型に美しくカーブする形。杵築の坂道の中でもカーブする急傾斜の坂道は珍しいこともあって、ついつい歩いてみたくなる坂でもある。

そして、白く見える石畳も「飴屋の坂」ならでは。白っぽい石畳は、雨が降る夜でもうっすらと白く浮かび上がり、薄暗い中でも良く見えたことから「雨夜の坂」とも呼ばれた。いつの頃からか、この“雨夜”が変化して“飴屋”になったという説もあるが、坂の下には実際に飴屋があり、それが名前の由来になったという説もあるなど、今ではその両方が通説となっている。

機会があれば、雨の降る、それも夕暮れ時にこの坂道を訪れ、白く美しく浮かび上がる石畳を歩いてみることをお勧めしたい。